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ロイヤル・ピン|特別編 第七章 休日 第二話【限定公開】



ロイヤル・ピン特別編

特別編

第七章 休日

第二話 


『目の前で灼熱の炎を吐く邪悪な龍を前にしても、少年は怯える素振りを全く見せなかった。邪悪な龍がどれほど巨大で凶暴であろうと、伝説の剣を手にした少年には恐れるものなど何もなかった。


 少年は天まで届くかというほどの崖を登り、黒き龍に向かい剣を突き立て、啖呵を切る。


「さあ、かかってこい邪悪な龍よ」


 龍は全身を震わせながら悍ましい雄叫びを上げ、恐ろしい速度で少年へと突進してきた。少年もその動きを見定めると、空へと高く飛び上がり、龍へと向かっていく。互いの攻撃が衝突する刹那、少年は驚くべき身のこなしで龍の攻撃をかわし、剣を龍の目へと突き立てた。黒き龍はとてつもない痛みに泣き叫び、そして力を失ったのか、溶岩が流れる深い谷底へと落ちていった。


少年は剣を空に向けて掲げ、自らの勝利を誇らしげに全世界に告げた。』


「この童話って……」私は原稿から目を離すと、翻訳の担当者であるピンさんに話しかけた。「ピンさん、これって随分思い切った内容ですよね」


 私は、画用紙と(プリックが)削りに削って尖らせたお気に入りの百二十四色の色鉛筆を手にしながら、そんなことを言った。

 私の役目は、ピンさんが翻訳した童話の内容に合わせた絵の下書きを描くことだ。その後、サーイロム社に送って、私の絵が『清書』される。


「当然ですわ、アニン」


 ピンさんはハンカチを取り出し、私の顔や首元に流れている汗を拭きながら返事をした。今日は風が吹く様子もなく、私たち二人は水辺の社で作業をしているのだが、それでも蒸し暑いと感じるような天候だ。

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