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シークレット・オブ・アス|第十五章 見つめ合い、追いかけ合い【支援者先行公開】

  • ミーナム
  • 6月1日
  • 読了時間: 13分


シークレット・オブ・アス 第十五章

シークレット・オブ・アス 第十五章 見つめ合い、追いかけ合い

 早朝の有名なゴルフ場は、多くの人で賑わっていた。誰もが社交を楽しんだり、ビジネスの繋がりを作ったりと、さまざまな目的でラウンドを回っている。美容皮膚科医のラダーも、週末になると両親に誘われ、ここに連れてこられる一人だった。両親が友人たちを紹介したがっているのは分かり切ったことだったけれど、その本当の目的は別にある。彼女はよく知っている。両親は、自分たちの友人の息子たちや、彼女と顔馴染みの先輩医師とラダーを近づけたがっているのだ。

 小さな白いボールが所定の位置にセットされ、細い手がゴルフクラブのグリップを握る。そのクラブはセントキング病院でも腕利きと評判の胃腸専門医、ウィスヌ先生から勧められたものだ。院長のプータレートもウィスヌの腕前をいつも称えていた。

「ラダーちゃんはゴルフが上手いんですね」美しい美容皮膚科医が見事に身体を整え、スイングを披露する姿に、ウィスヌは感嘆せずにはいられない。フォームは滑らかで美しく、つい目を奪われてしまう。

「そんなことないですよ、ウィスヌ先輩。子どもの頃に少し習っただけですから」ラダーはそう言ってウィスヌに微笑み、次のショットの準備を始める。

 だが、次のスイングはさっきのようにうまくいかなかった。彼女の意識が、ゴルフではなく、ある女性に完全に奪われてしまったのだ。その女性はラダーに向かって歩いて来ており、そばにはコーチと思われる男性が付き添っている。

 隣のウィスヌとの会話も耳に入らず、飲み物を頼んできてほしいと口実を作って追い払った。女優のサニターダーが立っている場所がゴルフのレッスン場であることは、はっきり看板に書かれている。彼女の柔らかく美しい手が、その大きな手のコーチに触れられる様子を見るだけで、ラダーの心はイライラして仕方がなかった。自分がまだ彼女に心を乱されていることを認めざるを得ない瞬間だった。

 いつも視線を浴びることに慣れている女優のサニターダーは、何やら予想外の行動を取っている。急遽追加されたドラマのゴルフシーンのために嫌々受けているはずのレッスンが、彼女にとっては意外にも楽しいものとなったらしい。しばらくコーチと話した後、彼女はレッスンスペースを離れ、真っ直ぐこちらに歩いてくる。

 周囲では多くの人が話し合い、スイングをしている中、二人の視線が交錯する。美しい女優の存在は多くの人の注目を引き、囁き声があちこちから聞こえてくるが、彼女の足取りはしっかりとしており、まったく照れた様子もない。なぜなら、彼女が目指す女性もまた、こちらをまっすぐに見つめ返しているのだから。

 リップグロスを纏った薄い唇が何かを語りかけているが、聞いているはずのラダーは、その美しい顔をただ呆然と見つめるばかりだった。昨夜飲み過ぎた赤ワインのせいか、脳の処理速度が遅れているようだ。今すべきことは、この女性のそばに近づかないことなのに、なぜか足が動かず、その女性が近づいてくるのを許してしまっている。

「センセイ、アーンにゴルフを教えてくれませんか?」

「なんで私が教えなきゃいけないの?」

「アーンはドラマで必要なんです。それに……アーン、他の人と近づきたくないんです。だって、センセイが嫉妬しちゃうでしょう?」甘くとろけるような笑みを浮かべる女優の言葉に、ラダーはただ呆然と立ち尽くす。表情には感情を出さないよう努めているが、動けずに見つめ返すその姿は、確かに何かしら不満を感じている証拠にほかならなかった。

 ラダーは、甘い笑顔から思わず顔を逸らした。この女は今でも彼女のことをよく理解している。

「別に嫉妬なんかしてない」

「センセイ、嘘ついてるでしょ?」

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