シークレット・オブ・アス|第十三章 付き添い【支援者先行公開】
- ミーナム
- 5月25日
- 読了時間: 14分
更新日:5月31日

シークレット・オブ・アス 第十三章 付き添い
太陽が西の空へと沈みかけているため、病室には淡い光だけが差し込んでいた。カーテンは、薬の影響で眠りに落ちてしまった時とは違い、開け放されている。女優は部屋をゆっくりと見渡してから、ソファで眠る自分のマネージャーに視線を向けた。そこにはスージーねえさんだけがいて、いつの間にかセンセイの姿はなかった。眠る前には、センセイが温かい手で自分の手を握ってくれていたことをはっきりと覚えている。
「おや、アーンちゃん、起きたの?」
「スージーねえさん、センセイはどこに行ったんですか?」目覚めてすぐにファーラダー先生のことを聞くなんてね。またしても指を怪我してる私のことなんてまったく気にしないのね、アーンちゃん。
「ファーラダー先生は何も言っていかなかったわ」
「え?」
「でも、あなたが目を覚ましたら、看護師に知らせるようにと先生に言われているの」拗ねた表情が一気に笑顔へと変わるのを見て、スージーは確信した。ファーラダーはアーンにとって、誰よりも特別な存在になっているのだと。
「スージーねえさん……」
「さて、元気が出たみたいだから、回りくどいことはなしで直接聞いちゃおうかしらね」そう言いながらスージーは椅子をベッドの横に引き寄せ、さらに患者の目が逃げないようにと釘を刺した。
コン、コン、コン! 「すみません、先生が回診にいらっしゃいました」ほら、きた。結局何も聞けないまま、スージーは仕方なくベッドの反対側に移動した。女優は看護師から質問を受け、医師の指示通りに記録が進められていく。
「ファーラダー先生はどこですか? どうして直接診察に来ないんですか?」
「ファーラダー先生は特別なケースに対応中でして、代わりにウィスヌ先生が診察されます」看護師は、よく訓練された通り、優しい声で患者の疑問に答えた。
医師のウィスヌは、ラダーに依頼されて、検査のために来た美しい女性の患者に爽やかな笑顔を向けた。しかし、ラダーがウィスヌに渡したメモには、質問する必要のない情報まですべて書かれており、患者であるサニターダー・ポンピパットさんの履歴は、ラダーの特徴的な美しい手書きで丁寧に書かれていた。
「特別なケース」という言葉を聞いて、女優は少し拗ねてしまった。センセイが患者を放置するはずないと分かっていても、自分が病気である今こそ、そばで見てほしかった。
「熱はありませんね。今晩は点滴で水分補給をして身体を休めましょう。明日には退院できますよ」優しく魅力的な声で話すウィスヌだったが、女優は彼にはまったく関心を示さず、毛布を引き上げ、自分が休みたいという意志を示した。
医師と看護師が出て行った後、部屋は静まり返った。スージーは思わずため息をついた。当初はアーンと『天使の先生』の間に何があったのか、二人がなぜ離れたのか問いただそうと思っていたが、彼女には二人の間にまだ愛が残っていると確信があった。
コン、コン、コン! ドアを叩く音が二人の物思いを中断させた。スージーが扉を開けに行くと、そこには家族には知らせないでと言っていたアーンを驚かせる顔があった。






