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クレイニアム|第三十三章【支援者先行公開】

  • Nalan
  • 1月25日
  • 読了時間: 11分

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小説クレイニアム第三十三章

小説『クレイニアム』 第三十三章

「二千五百万バーツ*って提示が来てる」副所長の声がふわりと響いた。彼女は研究論文の校正をしていたブアの前に歩み寄り、赤ペンを片手に持ったまま机に腰を下ろす。「もう送ったんじゃなかったの。いまさら直してどうするの?」

 眼鏡の奥でブアの視線が鋭く動き、相手を見上げる。「見落としがないか確かめてるだけ」そう言って手の甲で眼鏡を押し上げる。「それで、さっき二千五百万バーツって言ったのは?」

「あなたの彼氏よ。客を紹介してくれて、その人が二千五百万バーツを提示してきたの」ピンが重ねて言う。「安すぎるわ」

「彼氏って誰のよ?」ブアは語気を荒げた。「私に彼氏なんていた? でたらめ言わないで」視線を文書に戻す。

「さっきから長々しゃべってるけど」ピンは腕を組み、上から見下ろす。「つまり、あんたには『恋人』がいないってことか」

「知らないわよ。少なくとも私にはいませんけど」むすっとした顔を作り、目を合わせようともしない。

「そうかしら……バイブア?」からかうように声を引き延ばす。「じゃあ今朝、あなたのベッドで裸で寝てた女は誰?」

「知らなーい。覚えてない」わざとらしくとぼけて顔をそらす。「部屋の精霊でもいたんじゃない?」

「誤魔化してればいいわ。どうせ、私がいないと落ち着かないくせに」

「で、結局は売らないんでしょ。二千五百万バーツよ?」ブアは強引に本題に戻した。

「私の物じゃないのに売れるわけないでしょ。適当なことばっかり言わないで」

「売るふりくらいすれば? ああいう連中は利益がないと簡単には口を開かないものよ」

「でも正直、ソンウットから得られるものは少なそうね」

「あなたくらいの人なら駆け引きで吐かせられるんじゃないの。業界に片足突っ込んだこともあるんだから」ブアが言う。「実際の相場なんて知らないから大きなことは言えないけど、安いと思うなら交渉すれば? 結局、売るか売らないかはこっちの判断だし……あなたはどうせ売らない。違う?」

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