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クレイニアム|第三十章【支援者先行公開】

  • Nalan
  • 5 日前
  • 読了時間: 9分

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小説クレイニアム第三十章

小説『クレイニアム』 第三十章


 ピンはソンウットの誘いを受けて一緒に食事に行くと約束したものの、結局ブアと同行はしなかった。二人きりにした方が、彼から有益な話を聞けるかもしれないと考えたからだ。自分は店の外、黒い愛車のセダンで待つことにした。

 ブアがわざわざ許可を求めてきた場面を思い出し、ピンは思わず口元を緩める。あの子は、自分が誤解するのを恐れたに違いない。

 悪くない兆しだ。彼女の努力が少しずつ実を結びつつあるように思えた。

「本当に大丈夫?」車を停める直前、ピンは念を押した。「一緒に来てほしいなら言ってね」

「大丈夫」ブアは答えた。「ご飯を食べるだけだし」

「様子が変ならすぐに出てきなさいよ」

「承知しました、ピン博士」相手はわざと重い調子で返し、車が停まった瞬間、ブアは身を寄せて頬に軽く唇を触れさせた。「ありがとう」そう言って降りていく。突然の不意打ちに、ピンはただ手を頬にあて、笑みが抑えきれなかった。

 あの人とはあれほど深いところまで関係を進めてしまったというのに――どうして頬に口づけされただけで、これほど頭が真っ白になるのだろう。

(これが、関係を本気で築こうとする者同士が互いに示す仕草なのかもしれない。許可を求めてきたことも、さっきの行動も……)

  もしかしたら、ブアは自分を信じ始めているのか。

 そう思うと胸のつかえがほどけるようだった。ここ数カ月、故郷に戻ってから幾つもの出来事に巻き込まれてきた。とりわけ、かつては憎み合った親友との間に。出だしはぎこちなさの連続で、すべてがひっくり返るような展開もあった。けれど今や、不仲だった関係は、もっと別のものへと変わりつつある。

 ブアは金曜の夕暮れ、静かなレストランに入っていった。奥のオープンな席でソンウットが待っていたので、そこへ歩み寄る。客はまだ少なく、スタッフが二、三人、料理や飲み物を運んでいる程度だった。

「こんばんは、ソンウット先生」彼女は合掌して挨拶する。男は立ち上がった。

「どうぞ、ブアさん」椅子を引いてくれた。ブアは礼を言い、腰を下ろす。「お一人ですか?」

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