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クレイニアム|第二十五章【支援者先行公開】

  • Nalan
  • 2025年12月28日
  • 読了時間: 8分

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小説クレイニアム第二十五章

小説『クレイニアム』 第二十五章

「おお……今日はピン博士が朝からラボに来てる」

 生体人類学研究所のラボ主任がからかうような口調で言った。副所長が白衣姿でドアをくぐるのを見てのことだ。彼女は二カ月以上前に墜落した航空機の犠牲者の身元特定を手伝うと約束していた。現在までに九名が確認済みである。「先にレモングラスでも立てといて、雨が降るから*」

 ふざけた調子でそう言いながらすれ違った瞬間、ピンは足を突き出してブアを転ばせようとした。だが即座に引っ込める。ブアもすぐに身をひねってかわした。

「ピン! もし私が頭打ったらどうすんの!」

「頭じゃなくて口を打ちつけてみたら? 少しは黙るかも」そう言い放つと、彼女はステンレス台へ歩み寄った。そこには犠牲者の骨が並んでいる。ピンは上腕骨を手に取り、身長算出のため長さを測り始めた。

「数値はプログラムに入れといて」ブアが頭蓋模型の前で顔の復元準備をしながら声をかける。「身長計算の式はもう組んである」

「今は一本の骨だけでどれくらい正確に出る? 私もしばらくやってなくて」ピンが尋ねると、ラボ長はタブレットに目を落としたまま答えた。画面には復元のための基準点が表示されている。

「最近の研究じゃ誤差は縮まってきてる。最大でもプラスマイナス八センチ。もっと狭めたいけどね。昔は一本の骨だけなら十から十二センチもぶれてた。今は多少マシになった。それにアジア人のサンプルが増えたのも助かる。ただ男女で精度が違う。女性は上腕骨が一番正確。男性なら脛骨の方がいい」

「残りの遺体は少ないんだ、助かるわね」ブアは短くうなずくと、白いピンを手に取った。指の節ほどの大きさのそれを測って切りそろえ、黒のマーカーで【H】と書き込む。そして鼻梁のあった部分、顔の中央線と眉間の交点に差し込んだ。

 ピンは次に左肩甲骨を手に取った。蠅の幼虫が肉を食い尽くし、清潔な骨だけが残っている。中央近くに小さな穴が穿たれていた。

「バイブア、これ見た?」

「まだ。あなたを待ってたの」振り向けば、ブアが鋭い眼差しを向けている。「あれは昨日オンに持ってこさせて洗わせた。まだ目を通してない」

「じゃあ一緒に」ピンが手招きする。「墜落前に暴力があったのは確実ね。肋骨の欠けも説明がつく。凶器はまだ見つかってないけど」

「銃弾ね」ブアはすぐに察した。穴を細めて見つめる。「肩甲骨を貫通して丸い穴になるなんて、銃以外に思いつかない」

「機内で発砲があったかも」

「身長を出しましょう。この骨の持ち主が誰なのか知りたい」

 ピンも計測に集中した。数値をコンピューターに入力すると、数秒で結果が表示された。

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