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クレイニアム|第二十二章【支援者先行公開】

  • Nalan
  • 2025年12月20日
  • 読了時間: 11分

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小説クレイニアム第二十二章

小説『クレイニアム』 第二十二章

 問題のミイラ頭蓋の写真が、六十五インチのモニターに大きく映し出されていた。左側の画面にはその写真が、右隣の画面にはプログラムで二次元再現された身元不明の男の顔が並ぶ。ラボの責任者は解剖台に向かい、頭を上げ下げしながら墜落事故の犠牲者から残る七体の身元不明の骨を仕分け始めていた。とはいえ、一部の遺体は完全な形で帰ることができず、残っている骨片が本当に七体分そろうかどうかも怪しい。爆発と墜落の衝撃で粉々になったため、目で見ても数が少なすぎた。

 だが身元確認を担う者として、ブサヤー博士は全力を尽くしていると言えた。

 彼女はベッドに積まれた骨と、モニターに映る画像とを行き来する視線で見つめる。この二、三日、まともに集中できない。謎の頭蓋が思考を占領し、画面に映し出しては何か手掛かりをつかめないかと試すばかりだった。

 ピンは特に口を挟まない。ただ、別の手段で警察の情報待ち以外の道を探しているに違いない。

 最悪の可能性だけは考えたくなかった。もし誰かが意図的に作ったのだとすれば、この身元不明の男の体はどこから来たのか。骨が一つしかない以上、答えは出せない。だが……もし盗まれたものなら。あるいはもっと忌まわしい、非自然な方法で持ち込まれたのだとしたら。下顎骨は砕けて歪みが生じていた。

 下顎が折れたり変形したりするのは容易ではない。強い打撃や衝突がなければ外れることもない。かなり頑丈なのだ。再現プログラムで顔を組み立てた際、左側ボディに走った亀裂によって右方向へ一センチほどずれが生じていた。搬送中に損傷した可能性もある。しかし生前に暴力を受けた可能性も否定できなかった。

 その想像に至り、博士は長く息を吐いた。

 どんな目的で作られたにせよ、このミイラ頭蓋は何らかの違法な手段で入手されたに違いない。

 ふと思い出すのは、恩師の言葉。 ――死者の安らぎすら奪われる。この種は一体どうなってしまったのか。進化して他の種を凌駕した結果が、互いにこんな仕打ちをするためなのか。

 哀れなものだ……。

 ラボ主任は気持ちを切り替え、再び墜落犠牲者の身元確認に取りかかる。手に取ったのは、まだ持ち主の特定できていない骨盤。サイズを測る前に、まず恥骨下角を観察する。左右が九十度以上――これは女性の特徴だった。死亡者リストに女性は三名。一人は現場で顔が判別でき身元が確定済み。残るは二人。

 しかし持ち帰られた女性の骨盤は一つしかない。つまり、一人は欠損を抱えたまま帰ることになる。ブアはこの現実を好ましく思わなかった。

 それでも理解はしていた。法医人類学の現場とはそういうものだ。突き付けられる真実が、時に心を沈ませるのだ。

 角度とサイズを測定し、撮影も済ませる。次に手に取ったのは上腕骨。大きく厚みがあり、長さから見ても背の高い男性のものだろう。

 それにしても――なぜこのミイラ頭蓋があの飛行機にあったのか。それが彼女にとって最大の謎だった。いや、チャーター機がパリ行きの空で惨事に終わった理由と同じくらい大きな疑問かもしれない。そして次に浮かぶのは、なぜ頭蓋だけがあり、残りの部分は消えたのか、ということ。

 ピンは言っていた。通常は全身を売買する方が値が張る。部位売りより十倍二十倍にもなる。売り手がわざわざ切り分けることはまずない、と。だが人の死体まるごとを飛行機に積み、国外へ運んで売るなど正気の沙汰だろうか。

 考えれば考えるほど疑問が増える。

 そんなとき、まさに思い浮かべていた本人がドアを押し開けて入ってきた。険しい顔に、手には書類。ピンだ。歩きながらも顔を上げず、紙面に目を落としたまま。

「わざわざここまで降りてきて、何かあったの? ボス」

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