【4 Elements】アース|第二十章「ディンの傍らに永遠に寄り添う薔薇」【支援者先行公開】
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小説『フォーエレメンツ:アース』 第二十章 ディンの傍らに永遠に寄り添う薔薇
『父さんが言ってたの、ローズちゃんが大きくなったら、僕のお嫁さんになるんだって』
『お嫁さんって何ですか、ワスお兄ちゃん』
『ローズちゃんはお兄ちゃんと結婚する人のこと。お兄ちゃんがお婿さん』
『ワスお兄ちゃんがお婿さんで、ローズがお嫁さん。じゃあ、ディンお姉ちゃんは何ですか?』
ローズは無邪気にそう尋ねた。大きくなって、ワスお兄ちゃんのお嫁さんとして結婚するなら、ディンお姉ちゃんは大人になったら何になるんだろう。
『ディンは犬だよ。バカな犬』
『違います、ディンお姉ちゃんは犬じゃないもん』
ワスお兄ちゃんはいつもディンお姉ちゃんの悪口を言って、いじめてばかり。なのにディンお姉ちゃんはいつも黙っていて、言い返したり、やり返したりしたことが一度もなかった。今だって、ワスお兄ちゃんが農園の使用人の子どもたちを連れてきて、みんなでディンお姉ちゃんを大声で笑い者にしている。
『ローズ、ディンに構うなよ。お兄ちゃんと来い。お婿さんとお嫁さんごっこしよう』
『うえーん、ローズ痛い。お父さんに言いつけるんだから』
わがままなワスお兄ちゃんに腕を強く引っ張られて、お嫁さんごっこなんかしたくないのに無理やり連れて行かれた。しかも、引っ張られたせいでつまずいてお尻から転んでしまった。大泣きする声がチョムジャン農園中に響き渡った。きっと、すぐにお父さんとお母さんが駆けつけてくれる。ワスお兄ちゃんをちゃんと叱ってもらうんだから。
『ワス、ローズちゃんを無理やり引っ張っちゃだめ。痛がってるよ』
『おい、余計なことするなよ。ははっ、ディンは汚い犬だ!』
ワスお兄ちゃんに軽く押されただけで、ディンお姉ちゃんはバランスを崩してローズの隣に倒れ込んだ。ディンお姉ちゃんは、将来ローズのお婿さんになるという人よりずっと弱かった。けれど、ローズは覚えている——ディンお姉ちゃんはいつだって自分なりのやり方でローズを助けてくれた。一度だって見捨てて逃げたことはなかった。ワスお兄ちゃんにいじめられると分かっていても。やがて、大人たちがこちらに近づいてくる足音がして、ワスは子分たちを連れて自分の農園へ逃げ帰っていった。
『ローズちゃん、大丈夫?』
『ディンお姉ちゃん、血が出てる』
『平気。ちょっとだけだから。おうちに帰ろう、送っていくね』
『ローズ、立てない……』
『お姉ちゃんの手を握って』
ディンお姉ちゃんの小さな手を握るの……?
頼りなくて、安全にも見えないのに。なのにどういうわけか、ディンお姉ちゃんの手を握るたびに、不思議と温かくて安心する気持ちになるのだった。
あの日のディンという女の子の手——
そして今日、心から愛するディンの手——
同じ一対の手が、今もローズの手をしっかりと握り、ふたりで歩いていく。チョムジャン農園の敷地内でささやかに、身内だけで執り行われた二度目の結婚式。ふたりの家族の親しい人たちだけが集まった。あの時のような派手で大々的な偽りの婚礼ではない。あれはマハッタナコン家を欺くために、ロムが考え出した計画だったのだから。
けれど、今日の婚礼は、ローズとディンが互いに捧げ合う愛と、自らの意志で開かれたもの。そしてローズは、父にも娘の人生の大切な日に立ち会ってほしかった。父が、人を見る目に間違いはなかったと、いつも娘にとって最善のものを選んでくれたのだと、安心してほしかった。
おじいさまがマハッタナコン家との縁談を望んだとき、その家の裏の顔を知っていた父はその約束に従わなかった。そして、娘がワーティンワニット家の人、ディンと結ばれることを、心のままに許してくれた。
カサマー・ワーティンワニット——
近寄りがたくて、壁があって、自分の世界に閉じこもりがちで、孤独を愛し、他の人の目には平凡に映るかもしれない人。けれど、ローズにとって、ディンはこの上なく特別で、完璧な人だった。温かくて、優しくて、繊細で、気遣いに満ちている。幼い頃から一緒に育ってきた日々と何も変わらない。芯が強く、名前の通りに揺るぎない。優しいけれど弱くはない。ローズはこの人に人生を託し、共に支え合って生きていくと心に決めていた。
ディンお姉さんのお嫁さん、ローズとして——
「何を考えているの?」


