【4 Elements】アース|第十八章「心の中にいるのは誰なのか、もう一度見つめ直して」【支援者先行公開】
- 8月2日
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小説『フォーエレメンツ:アース』 第十八章 心の中にいるのは誰なのか、もう一度見つめ直して
「本当に大丈夫なの? もっとちゃんとお医者さんに診てもらったほうがいいんじゃない? 何かあったら困るでしょ。あのとき、頭を壁にぶつけて気を失っちゃったんだから」
「ちょっと頭が切れただけですよ、ローズさま。もう縫ってもらいました。見た目よりずっと頭は頑丈なんですから。心配しないでください」
「ごめんね、怪我させちゃって。わたしがモッデーンを守れなかったから」
「ローズさまがご自分を責めることなんてないですよ。全部、ローズさまのせいじゃないんですから。悪いのはマハッタナコンの連中です。ワスポンさんに逃げられたのが悔しいですけど。あんな悪人はワスと一緒に刑務所にぶち込まれるべきなのに!」
ローズも同じように悔しかった。結局、ワスポンのような悪人は、策を弄して逮捕を逃れてしまった。さっきロムが伝えに来てくれた話では、あの男は隣国へ逃亡したという。一方のワスは、警察の逮捕に抵抗して銃撃戦となり、重傷を負った。最終的にワスが撃たれて制圧され、今は病院で医師たちが命を繋ぐための手術を行っているところだった。
ワスがどれほど卑劣なことをし、罪のない人々を殺してきたとしても、死をもって償わせたいとは思わなかった。そうなれば、ワスは自分の犯した罪を反省することもないだろう。同じ人間として、せめて命だけは助かってほしい。そして、刑務所の中で、自分が犯した悪行を心から悔いるまで罪を償ってほしかった。
「いっそワスなんか死んじゃえばいいのに。あれだけ悪いことしたんだもん。私は助からないほうがいいって祈ってますよ。手術台の上で、そのまま逝っちゃえばいいんです」
「そんなこと言うと罰が当たるわよ。誰が何をしたって、因果応報に任せればいいの」
「もう、ローズさまは優しすぎますよ。私は悪い人に同情なんかしたくないです」
「そうね。モッデーン、お父さんのそばにいてくれる? わたし、先にディンお姉さんのところに行ってくるから。ディンお姉さんがどうしてるかわからなくて」
センラック農園での惨事が終わった後、ディンはケーオに付き添って救急車で病院へ向かった。ロムはローズと意識を取り戻したばかりのモッデーンを車に乗せ、一緒に病院まで来てくれた。ローズはまず、モッデーンの診察と縫合を済ませ、それからお父さんの病室で経過を見守っていた。そこへロムが最新の情報を伝えに来てくれたのだ——ワスが逮捕され重傷を負ったこと、そして、ディンがケーオの安全が確認されるまで手術室の前を離れようとしないこと。
「でもローズさま、顔色悪いですよ。ここで待ってたほうがいいですって。私がディンさんを呼んできますから」
「大丈夫よ、モッデーン。まだ動け……」
「ローズさま! 誰か来てください! 看護師さん、人が倒れました!」
モッデーンは看護師に助けを求めた。目の前で主人が崩れ落ちるように意識を失ったのだ。農園を出てロムと一緒に来たときから、ローズがひどく疲れた様子で顔色が青白いことには気づいていた。けれど、警察の人に聞かれたとき、ローズはモッデーンに答えたのとまったく同じように「何ともない」と言ったのだ。
「ディンさん、申し訳ありません。娘をちゃんと育てられなかったばかりに、ケーオが恩を仇で返すようなことをして、ご迷惑をおかけしてしまって。私たち父娘が、カシディットさんやディンさんにどれほどの恩があるか……」
「今はケーオを責めるときじゃありません。私はケーオのことは全部許しました。今はただ、ケーオが無事に戻ってきてくれることだけを願っています」
「ケーオよ、早死にだけはするなよ。父さんのところに帰ってこい。ディンさんへの恩を返さなきゃならないんだぞ」
ディンは悲しみに沈むクラーの姿をじっと見つめていた。手術室の前に座って待ち始めてから、もう三時間近くが経っていた。医療チームからの経過報告は、まだ何もない。
ケーオが、自分と、自分の愛する人を守るために身を挺してくれたから、こうして生死の境をさまよっている。私への恩返しのために戻ってくるなんて、そんなことじゃない。友人として、私のほうこそケーオの助けに報いたい。ケーオがワーティンワニット家とアモンジンダー家のためにしてくれたすべてに。すべてのことを謝りたい。家族同然の大切な人に、また私たちは友達に戻ろうと伝えたい。
すべての過ちを許し、もう何も恨まない——
「ディンさん、先生が出てきましたよ」
「先生、ケーオはどうですか? 助かりますか?」


