【4 Elements】アース|第十六章「よろめけば、それは敗北を意味する」【支援者先行公開】
- 7月26日
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小説『フォーエレメンツ:アース』 第十六章 よろめけば、それは敗北を意味する
昨日の騒動を経て、新しい朝が始まった。ローズとの間に生じた大きな行き違いも、きちんと話し合って解きほぐすことができた。今はもう何のわだかまりもなく、互いの腕の中で寄り添い合い、目を覚ませば最初に出会うのはこの人——そんな朝を迎えている。
ディンは思った。これから先、どんな問題や試練がふたりの人生に降りかかってきたとしても、愛する人と一緒ならきっと乗り越えられる。そして、罪を犯した者には法の裁きが下されるべきだ。マハッタナコン家の人間は、自分たちの行いの責任を取らなければならない。少なくとも刑務所に入れば、あの親子がこれ以上罪のない人々を苦しめる道は閉ざされるはずだ。
ロムからの朗報を祈りながら、あの優秀な警部補が奔走してくれていることに心からエールを送る。もしロムがいなかったら、ナームやファイといったワーティンワニット家の妹たちがいつも手を差し伸べてくれなかったら——ディンはきっと八方塞がりで、孤独に打ちひしがれ、愛する人を守りたくても守れなかっただろう。
本当に恵まれている。家族にも、愛する人にも……。
「ディンお姉さん、何を考えてるの?」
「ローズちゃん、起きたの?」
「眉間にしわ寄ってるよ。朝から悩み事?」
ローズが指先を伸ばし、眉間にくっきりと刻まれたしわをそっと押し広げる。朝からこんな険しい顔をしていた人が、その手に導かれるようにふっと力を抜き、代わりに甘い微笑みを浮かべた。同じセーフハウスで迎える、ふたりだけの朝。
「ローズちゃんのことを考えてたんだよ」
「ディンお姉さん、お世辞なんかいらないからね。そんなのでわたしは動じませんよ」
「おはよう、私の愛しい人」
私の愛しい人——それって、わたしのこと?
美しい顔の持ち主がそっとまぶたを閉じる。ディンがそこへ柔らかく唇を寄せ、額に軽くキスを落とした。朝の挨拶。それからすっと身を引いて、甘い笑みをこちらに向ける。朝から心が溶けてしまいそうだった。ディンはいつもこうだ。寝る前にも散々心臓を忙しくさせておいて、朝になってもまた容赦なく溶かしにかかってくる。
動じないなんて——ローズの大嘘だ。
「今朝は何が食べたい?」
「ディンお姉さんが自分で作るの?」
「うん。ここにはふたりきりだし、農園みたいにジャンおばさんが美味しいもの作ってくれるわけじゃないからね」
「ディンお姉さんだって料理上手じゃない。前にも作ってくれたでしょ」
「じゃあ、あのときと同じメニューでいい? わたしたちが結婚した最初の朝と同じの」
「やだ」
「何か別のものが食べたいの?」


