【4 Elements】アース|第十四章「二つの花、土に寄り添いて」【支援者先行公開】
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小説『フォーエレメンツ:アース』 第十四章 二つの花、土に寄り添いて
『ケーオ、カシディットさんにご挨拶しなさい。こちらはディンさん、カシディットさんの娘さんだよ』
『はじめまして、カシディットさん。はじめまして、ディンさん』
カシディットとカサマーに初めて会ったとき、ケーオは自分が十六歳だったことをよく覚えている。高校に通っていた彼女は、父が働くセンラック農園を初めて訪れた。普段はチェンマイの伯母のもとで暮らしており、彼女が面倒を見てくれていた。学費は父が送ってくれていたが、母については、幼い頃に離婚してそれきり連絡を取っていない、とだけ父から聞かされていた。母は新しい家庭を持ち、一切の音信は途絶えていた。
だが今、ケーオはセンラック農園に永住することになった。伯母が突然の事故で亡くなり、父はやむを得ず農園主のカシディットに、娘を連れてきてもよいかとお願いしたのだ。センラック農園の主であるカシディットは心の広い慈悲深い人で、ケーオの学費も面倒を見ると父に申し出てくれた。農園で働く他の従業員の子供たちにも同じように、学びたいだけ学べるよう支援してくれていたのだ。
『ケーオちゃんだね。ここに来たからには、センラック農園を自分の家だと思いなさい』
『ありがとうございます。カシディットさんのご恩を、ケーオも父も決して忘れません。農園のお手伝いをして恩返しします』
『そんなことは気にしなくていい。お父さんから聞いたよ、ケーオは勉強が得意なんだって? それなら一生懸命勉強して、ディンと同じ大学に入れるといいな』
『ケーオ、何か困ったことがあったら言ってね。お父さんがクラーおじさんの娘は私と同い年だって言ってたから。ここではケーオは私の友達だからね』
『ディンさんのお友達だなんて、そんな。私は使用人の子供で、ディンさんはカシディットさんの娘さんですから』
『友達になるのに、お父さんが誰かなんて関係ある? 私はそんなふうに考えないよ。私はケーオを友達だと思ってる。ケーオは? 私と友達になりたい?』
『はい。私はディンさんのお友達になりたいです』
ディンさんのお友達になりたい——初めて会ったあの日から、身分の差など微塵も気にせず、あの眩しい笑顔と優しさを惜しみなく向けてくれたディンさん。そして、友達でいる間、ディンさんは一度も線引きをしなかった。ケーオが使用人の子供で、自分が農園主の娘だからといって、距離を置くようなことは決してなかった。
ケーオはディンの友であり、信頼を寄せられた部下だった。どんなときもディンのそばにいた。同じ大学に進めたことも、どこへ行くにも一緒だったことも、農園の仕事を手伝えたことも、すべてが幸運だった。いつしかケーオはディンの影のように、その傍らにいることが当たり前になっていた。
カシディットを亡くしてから、ディンはそばに誰かを置こうとしなくなった。あの大きな喪失のあと、誰かを受け入れることを拒み続けた。けれど、人生で最も辛い時期に、ディンがふと振り返ればケーオはいつもそこにいた。十六歳のあの日からずっと、ケーオはひそかにディンを見つめ続けてきた。そうして歳月は流れ、二人とも三十代に差しかかっていた。
ディンの人生における最初の転機——あの明るく溌剌としたディンから笑顔が消えたのは、カシディットの死だった。それ以降、ケーオがずっと見つめてきたディンは別人のように変わってしまった。それでもケーオは一度たりとも去ろうとは思わなかった。いつかディンが振り向いてくれる日まで、ここにいたかった。
ディンはケーオにとって、世界のすべてだったから——。


