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【4 Elements】アース|第十二章「恋の勝負を決める攻めの一手」【支援者先行公開】

  • 1 日前
  • 読了時間: 22分

小説『アース』

小説『フォーエレメンツ:アース』 第十二章 恋の勝負を決める攻めの一手


「いたっ、ローズちゃん」

「ディンお姉さん、大丈夫ですか? あの……わざとじゃないんです」

 ローズは驚きながら年上の相手に声をかけた。考えるよりも先に体が反応してしまったのだ。ディンの口からあの言葉をもう一度繰り返されて、牛乳のグラスをうっかり払い落としたときと同じように、思わず全力で肘を打ち込んでしまった。ディンのみぞおちあたりに食らったらしく、体勢を崩してベッドの上で脇腹を押さえてうずくまっている。ローズは慌てて駆け寄り、容態を確かめた。

 先に言っておくけど、彼女は決して暴力を振るうタイプじゃない。ただ、ディンの思いもよらない一言にショックを受けたうえ、恥ずかしさまで込み上げてきて、どうしていいかわからなくなってしまっただけなのだ。。いきなり何食わぬ顔で「妻がほしい」なんて言い出して、挙げ句の果てに「本当に自分の妻になりたいか」と念押しまでしてきたのだから。こんなことをされて取り乱さない人間がいるなら、お目にかかりたいものだ。

「大丈夫ですよ。平気、平気」

 ディンは歯を食いしばりながら、気まずそうな表情で年下の相手に答えた。ローズの鋭い肘が不意に突き刺さって、あっけなく崩れ落ちてしまった。脇腹を手で押さえたまま、ごまかすように薄く笑みを浮かべる。

「ディンお姉さんがいけないんですよ。からかって驚かせるから、こうなるんじゃないですか」

「からかってません。冗談でもないです」

「ディンお姉さんが言ったこと、どれだけ大きなことか、わかってます?」

 美しい顔の持ち主は、こくこくと頷きながら真剣さを示す年上の人と目を合わせた。冗談だなんて片付けさせないという強い意志がそこにはあった。ローズは自分でも気づいていなかった——今の自分の顔がどれほど途方に暮れたように見えているか、あるいは、どれほど真っ赤に染まっているか。「妻」という言葉に心臓がどれだけ激しく反応しているか、ディンにはもうすっかり見透かされていた。

「ローズちゃんが、はっきり言ってほしいって言ったんじゃないですか」

「これははっきりしすぎです。はっきりしすぎて……心の準備ができてなかったんですよ」

「はっきりさせたかったんです。ローズちゃんに誤解してほしくないから。私は本当にローズちゃんのことが好きなんです」

「でも、わたしたちの結婚は偽装ですよ?」

「これまでのことを正直に言わせてください。私はずっと自分の気持ちに正直に動いていました。ローズちゃんにしてきたことの中に、演技なんて一度もなかった。こんなふうに思っていたこと、怒りますか?」

 ディンは心の内をすべてさらけ出し、もうこれ以上隠し続けるつもりはなかった。大事なことはまず伝えて、説明はあとからする——そういう性分だ。妹たちからは伝え方が下手だと言われてきた。聞く側が誤解しやすいと。けれど、ローズとのあいだでは一瞬のすれ違いでさえ、人生の幸福を蝕んでしまう。だから大切な人との間に誤解が生まれることだけは、絶対に避けたかったのだ。

「どうしてわたしが怒ると思うんですか」

「やるべきことを超えてしまったから。ティパコンおじさんはローズちゃんを私に託しただけなのに、私は本気でローズちゃんを好きになってしまった」

「わたしもディンお姉さんのことが好きですよ。これは、おあいこってことにしません?」

「えっ!」

「わたしは、ディンお姉さんのことが本当に好きだって言ってるんです。自分の気持ちとして。演技じゃなく、同じですよ」

 ローズは微笑んだ。自分の言葉でディンが放心状態になっているのが愛おしかった。ただ好きだと返しただけ。ディンがきっと喜んでいるように、自分も嬉しいのだと伝えたかった。ようやくふたりで気持ちを確かめ合えた。お互いの心の内を明かして、同じ気持ちだったと知ることができた。

 自分を偽ったり「偽装結婚だから」と言い聞かせたりしなければ、ふたりはずっとお互いに好意を抱いていた。惹かれ合い、一緒に過ごすすべての時間に幸せを感じていた。「好き」がいつ「愛してる」に変わるのか、あるいは変わることができるのか、それはわからない。けれど、もう自分に嘘をつくのはやめたかった。

「どうしたんですか、ディンお姉さん。好きって言っただけでそんなに固まるんですか」

「ローズちゃん、本当に私のこと好きなんですか?」

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