【4 Elements】アース|第九章「本当の気持ちと偽りの関係」【支援者先行公開】
- 7月4日
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小説『フォーエレメンツ:アース』 第九章 本当の気持ちと偽りの関係
「ケーオ、今朝は早いのね」
「今日はお客さまのところを何件か回らなきゃいけないので、余裕を持ってディンさんをお迎えに来ました」
「昨日の夜は送ってくれてありがとう」
「いえいえ。ディンさんにブラックコーヒーを買ってきたんですよ。飲めば二日酔いも楽になるかと」
「ケーオさん、そのコーヒーはご自分でどうぞ。今朝、わたしがディンお姉さんにブラックコーヒーを淹れましたから。カフェインも摂りすぎはよくないですし」
ローズはふたりの間に明らかに割り込むように入ってきた。あるいは、モッデーンが『ディンの一番になるための極意』を徹底的に叩き込もうとするその誘惑に、ローズは抗えなかった。ケーオに隙を与えまいと飛び出してきて所有権を主張したのだろう。ディンに色目を使う相手を一切許さないとでも言わんばかりに。
「ローズちゃん?」
「今日もディンさん、遅くなりますか? わたし、ちゃんと待ってますから」
「まだ何時に仕事が終わるかわからないの。眠かったら先に寝ていいからね」
「先に寝るなんてできないですよ。妻ならディンお姉さんが帰ってくるまで待つものです。じゃないと心配で眠れないもの」
ディンは隣に立つローズをじっと見つめた。なぜ急にこんな態度を取るのか、部下の前でどう振る舞えばいいかわからなくなってしまった。今朝、ローズがいったい何を思い立ったのか——いつもと違う甘えた声で玄関先まで見送りに来て、しかも腕を絡めて親密さをアピールしてくる。あの日、ワスポンの前で振る舞ったときとそっくりだった。
「仕事が終わったらすぐ帰るから。ローズちゃんに心配はかけないよ」
「ディンお姉さん、最高。じゃあご褒美あげなくちゃ」
「ご褒美って……何?」
「楽しみ? もっと嬉しくなりたかったら早く帰ってきてね。もっとご褒美あげるから」
「……」


