【4 Elements】アース|第七章「再び巡り合う幸福」【支援者先行公開】
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小説『フォーエレメンツ:アース』 第七章 再び巡り合う幸福
盛大な結婚式が滞りなく執り行われた翌日——新婚生活の最初の朝だった。ローズは、まだ馴染みのない寝室の広いベッドの上で目を覚ました。美しい顔の持ち主がようやく意識を取り戻し、部屋の中を見回すと、今朝この部屋にいるのは自分だけだとわかってほっとした。夜更けまで話し込んでいた相手の姿は、もうどこにもない。
「ディンお姉さん、どこに行ったんだろう?」
いつの間に眠りに落ちたのか、まるで覚えていない。眠りに落ちる直前、ふたりが何の話をしていたのかさえ思い出せないのだ。それに、昨夜先に寝てしまったとき、何か恥ずかしいことをしていなかっただろうか——『初夜』を同じ部屋で過ごすことになった相手に、みっともない姿を見られてはいないだろうか。
よだれを垂らしていたかもしれない。寝相が悪かったかもしれない。寝言を言っていたかもしれない。最悪なのは、疲れすぎていびきをかいていた可能性だ。もしそうだったら、顔向けできない。だからこそ眠りたくなかったのに、睡魔と疲労に勝てなかった。
「ディンお姉さんに聞いたほうがいいよね」
ローズは慌ただしくベッドから起き上がり、答えをくれるただひとりの人を探しに部屋を出た。ディンはきっとダイニングでコーヒーを飲んでいるか、いつもの朝のように書斎で仕事を片づけているだろう——出勤前の朝、いつも見かける光景だ。けれど今日はどうやら予想が外れたらしい。結婚を終えたセンラック農園の主の日課は、すっかり様変わりしていた。
「ローズさん、お早いんですね」
「ジャンおばさん、ディンお姉さん見ませんでした? 書斎にもいなくて」
「今、ディンさんはキッチンにいらっしゃいますよ」
「ディンお姉さんがキッチンに?」
「ええ、まだ暗いうちから起きていらして。わたしと一緒に市場まで行ったんですよ。ローズさんに朝ごはんを作るんだって」
「……」
自分がぐっすり眠っている間に、ディンはまだ暗いうちから起きて、また予想もしないことをしていたのだ。ジャンおばさんと市場まで出かけて、自ら台所に立って朝食を作ってくれているなんて。自分が花嫁役に入れ込んでいるように、ディンもまた新婚の役にすっかり入り込んでいるということか。
朝から——目が覚めた瞬間から、その気遣いに打ちのめされて、心が揺れてしまう。
「ジャンおばさん、ローズちゃんは起きた?」
「ジャンおばさんじゃなくて、ローズ本人ですけど」
「ローズちゃん!」
「そんなに驚かなくても。ジャンおばさんからディンお姉さんがキッチンにいるって聞いたから、自分の目で見たくて来たの」
ローズは、センラック農園のディンの新たな一面を見逃すつもりなどなかった。エプロンをつけて真剣な顔で料理に取り組むディンの姿を見た瞬間から、可愛さポイントを山のように加点してあげたい気持ちでいっぱいだった。
「サプライズのつもりだったんだけど。ローズちゃんがこんなに早く起きるとは思わなくて」
「すごく自然な演技でしたね、ディンお姉さん。きっとみんなもう噂してますよ、ディンお姉さんは惚れた弱みで大変だって」
「演技じゃないよ、ローズちゃん」
「えっ、じゃあなんでわたしに朝ごはんなんか作ってるんですか? いつもジャンおばさんの仕事でしょう」
「新婚初日の朝くらい、いつもとは違う特別なことをしてあげたかったんだ」
「……」


