【4 Elements】アース|第八章「正妻の座につく」【支援者先行公開】
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小説『フォーエレメンツ:アース』 第八章 正妻の座につく
「ローズちゃん、今日はどこか行きたいところはありますか?」
「わたしは地元の人間じゃないから、プラチュワップキーリーカン県にどんな観光スポットがあるのかわからないんです。ディンお姉さんに選んでもらおうかなって」
「私も詳しくないんですよ。最初はナームに聞こうかと思ったんですけど、今日は別の場所で打ち合わせがあるみたいで。私たちがどこかに行きたいなら、ナームが手配してくれた運転手に言えば、連れて行ってもらえるって」
「じゃあ、わたしがインターネットで調べてみますね。おすすめの観光地がないか見てみます」
ディンは頷いて同意を示した。名ばかりとはいえ、妻であるローズの意見にはどこまでも従うつもりでいる。今朝はリゾートが用意してくれた豪華な朝食を、急ぐこともなくゆっくりと味わっていた。ここはセンラック農園ではないのだから、いつものように慌ただしくする必要もない。海を眺め、波の音に耳を傾けながら、のんびりと朝食を楽しむことができた。
「午前中はお寺にお参りしたいの。そのあと有名なレストランでお昼を食べて、午後は疲れたらリゾートに戻って休憩して、夕方になったらナイトマーケットに買い物に行くっていうのはどうですか?」
「ローズちゃんの好きなようにどうぞ」
「もう、またそれ。ディンお姉さんはすぐ『好きなようにどうぞ』って。わたしがプランを出したのは、一緒にアイデアを出してほしいからなのに。全部わたし任せじゃ、ディンお姉さんがプランのどこを気に入ってて、どこが嫌なのか、わかんないじゃないですか」
「全部気に入ってますよ。何も問題ないです」
ローズは頬杖をつきながら、わざとらしく年上のその人をじっと見つめた。ディンは自分を甘やかしすぎる。それはローズにとってはありがたいことだけれど、ディンにとっては良くないかもしれない。せっかく二人で旅行に来て、一緒に休暇を過ごしているのだから、アイデアも半分ずつ出し合うべきだ。なのにディンはただ薄く微笑むばかりで、ローズの意見に一つも逆らおうとしない。
「ディンお姉さん、わたしたち二人、きっとこの先もずっと一緒にいるんですよね」
「え?」
「ディンお姉さんがなんでもわたしの言いなりで、自分の望みを言わないままでいたら、そのうち息が詰まっちゃいますよ。でも『好きなようにどうぞ』の代わりに本音を言ってくれたら、わたしたちはもっとわかり合えると思うんです」
「本音を言えばいいと?」
「はい。わたしたちの結婚は偽りのものだけど、お互いが安心していられるように、ディンお姉さんには口先と本心が違う状態でいてほしくないの。わたしに隠し事をしないでほしいんです」
「ローズちゃんが幸せなら、わたしも幸せですよ」
「……」


