【4 Elements】アース|第二章「優しくも、弱くはないディン」【支援者先行公開】
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小説『フォーエレメンツ:アース』 第二章 優しくも、弱くはないディン
「ワス、油断するんじゃないぞ。ティパコンの娘の件、どこまで進んだんだ。のんびりしている場合じゃないだろうが!」
「お前は下がってくれ」
ワスは、最近付き合い始めて屋敷に連れ込んだ若い女に命じた。父親が不機嫌な顔で乗り込んできたのだ——チョムジャン農園の件がまだ片付いていないというのに、こうして悠々と酒を飲み、女にかしずかれている息子の姿が気に入らなかったらしい。だが、今日のワスには余裕があった。ローズと個人的に話をしたあとだったからだ。ティパコンの娘も、父親と同じように罠にはまるに違いない——そう確信していた。
「すべて計画通りに進んでいます。心配には及びませんよ、父さん」
「心配するなとは何だ。あちらの方からも急かされているんだぞ、ルートを拡張するか変えろとな。最近は警察の目が厳しい。仲間が情報を流してくれるとはいえ、チョムジャン農園の川沿いの土地さえ手に入れば、センラック農園の連中の土地なんぞもう必要ないんだ」
「あのジジイのティパコンは寝たきりの植物状態だ。一日一日、生きるか死ぬかの瀬戸際で、娘を守る力なんかあるもんか。それにディンが首を突っ込んできたところで、ローズちゃんは昔から人の言うことを簡単に信じるお人好しだ。ちょっと揺さぶってやれば、子どもの頃と同じようにすぐ転がる」
事実、ローズの口から、ティパコンの事故について最も疑わしい人物の話を聞かされたとき、ワスはあの娘の目に隠しきれない動揺と困惑を見て取った。つまり、ディンに対する疑念の種はしっかり蒔かれたということだ。あの二人が簡単に信頼し合えるはずがない。
「お前に任せたんだ。今度は失敗するなよ」
「惜しいことに、あのジジイは運が強くて、あの場で死ななかった。死んでいれば話は早かったのに」
「だから言っているだろう、もう失敗は許されんと。しくじれば一家全員が痛い目を見るぞ」
「仮にあいつが目を覚ましたところで、娘婿のこの俺に何ができるってんですか。いや、むしろ目覚めたら目覚めたで——自分の娘が俺の女にされ、チョムジャン農園の土地を奪われた現実を見て、今度こそ本当に絶望で死ぬんじゃないですかね」
泣き虫のローズちゃん。いつも誰かに守ってもらい、甘やかしてもらわなければ何もできない女。ワスが本気を出せば、ディンのような軟弱な人間に守りきれるわけがない——!
「お父さん、わたし、ローズよ。お見舞いに来ました」
ローズはベッドに横たわる父の手にそっと自分の手を重ねた。あの夜、命を繋ぐために脳の手術を受けてから、父はまだ意識を取り戻していない。体中に繋がれた無数のチューブやコードが、重篤な患者の容態をかろうじて安定させている。病院が許す短い面会時間に毎日通うことしか、彼女にできることはなかった。それでも、ずっと待ち望んでいる奇跡は訪れない。医師の言葉はいつも同じだった——経過を見守るしかない、いつ目覚めるかはわからない、と。
良い知らせもなく、悪い知らせもない——そんな宙ぶらりんの日々。
「今日はディンお姉さんも一緒に来てくれたんですよ」
「おじさん、ディンです。お見舞いに来ました」
ディンはしばらく離れた場所から見守っていた。ローズと父親に二人の時間を過ごさせてから、割り込むことなく静かに声をかけた。チョムジャン農園の主の娘と一緒に見舞うのは今朝が初めてのことだった。昨夜の約束どおり、ローズを迎えに行き、二人で病院まで来たのだ。
「小さい頃からずっと、わたしはお父さんの決めたことを何でも信じてきました。だって、お父さんはいつもわたしにとって一番いいものを選んでくれたから。だからわたし、ディンお姉さんを信じます。お父さんがお姉さんに頼んだこと、ちゃんと守りますからね」
「おじさん、こちらのことは心配しないでください。私、ディンは約束を守ります。だから、おじさんも早く目を覚まして、早く元気になって、自分の手でローズを守ってあげてくださいね」
昏睡状態の父からの返事はない。回復の兆しも見えない。だから、二人が言葉を終えたあと、病室にはただ静寂だけが残った。けれど、ディンは思った——もし人工呼吸器に繋がれたティパコンおじさんにまだ何かを感じ取る力が残っているなら、少しは安心してほしい、と。
ローズは押し寄せる問題のすべてに、たった一人で立ち向かっているわけではないのだから。
「もうすぐお昼だけど、ローズちゃん、何か食べる?」
「大丈夫です。それよりディンお姉さん、農園まで送ってもらえますか。お腹は空いてないので」
「人はお腹が空いたから食べるんじゃないんだよ。毎食きちんと時間どおりに食べなきゃ」
「お小言はやめてもらえますか!」
「でも……」
「お父さんに言われたからディンお姉さんのそばにいることにしたけど、だからって小言を言ったり、子ども扱いしていいってことじゃないんですからね」
ディンは年下の相手をじっと見つめた。今の状況を見る限り、文句を言っているのはむしろローズのほうだ。自分の言葉は小言とは程遠い、ただの気遣いにすぎないのに。でも、ここまではっきり先手を打たれてしまっては、これ以上問い詰めたりしつこく言い募るつもりはなかった。
もともと他人のことにはあまり首を突っ込みたくない性分なのだ。センラック農園の主としての仕事と責任だけで手一杯で、誰かに構っている余裕などほとんどないのだから。
「ディンお姉さん! ローズをどこに連れていく気ですか」


