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ロイヤル・ピン|特別編 第九章 プリックプリック 第二話【限定公開】



ロイヤル・ピン特別編

特別編

第九章 プリックプリック

第二話 


 今日は猛暑が続く夏のある日。アノン王子の側近であるプロックが、蓮宮のお偉い様、あるいは代理人に当たる人間と、アノン王子の第一子に当たるインオーンニダー・サウェタワリット王女について話をしに来たのである。このプロックという男は、ただの部下にとどまらず、アノン王子と非常に親しい友人でもあるようだ。

 ひと仕事を終えたプロックは、南西宮殿へ戻る途中、水辺の社でひとり黄昏ているプリックの姿を見かけた。

 何かに強く引き寄せられるかのように、勇ましい青年は社へと足を運んだ。静かに佇んでいるプリックと軽く挨拶を交わすと、頃合いを見てプリックの隣に腰を下ろした。そして、どこから音楽でも聞こえてきたのか、即興の詩を口ずさみ始めた。彼がそうして心を傾けようとしている相手は、今やこのサウェタワリット宮で最も妖艶で、掴みどころのない難攻不落の女、プリックである。強く引き寄せられてしまうのも、無理はないだろう。


「美しい、その美しさは空から……この地面に至るまで」


「パプアニューギニアで、柵の隣に実る銀合歓を集めて」


 プロックの詩に続けて、プリックはそう口ずさんだ。


「パプアニューギニアとは何だい?」プロックは疑問符を浮かべている


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