
特別編
第六章 殿下
第一話
もし私の人生を一言で表せと言われたら、私はこう答える。『徳は積めても背負う業に阻まれる』——そんな人生だと。
私の持つ徳とは、圧倒的なまでの身分である。生まれながらにして与えられた名は『皇太女バロムウォントァー・アーパーヌマース』。後宮内では、皆からは『イム殿下』と呼ばれている。
私の背負っている業——それは、私自身の健康状態以外の何ものでもない。常日頃から病に臥せることが多く、良くなったかと思えば三日後には振り出しに戻る。私の人生の大半は、先天的な持病と後天的に発症した数々の病に蝕まれながら過ぎていった。その影響で、中央宮殿には常に医師や先生方が出入りし、私はそんな自分の状況を半ば皮肉るように、この宮殿を「中央病院」と呼んでいた……。
私の人生は、まさに『半死半生』と言えるようなものだった……。
私のことを心配し、不憫に思ってくれた優しい私の母上、ウァープは、私のために同じ年頃の女子たちに呼びかけ、後宮内の専属使用人として、特に私の使用人として多くの子どもたちを迎え入れた。その中でも、誰よりも早く私の脳裏に刻み込まれた存在がいた。彼女はカシディット家の王女でありながら、どうやらサウェタワリット宮の義理の娘として育てられているらしかった。
『名前は何というの?』