特別編
第四章 切れ間
第三話
『私はロンドンに降ってくる雪が大好きだわ。大雨のように降り注いできて、灰色の建物で出来た街々を真っ白に染め上げる光景は、いつも私の目を釘付けにさせるの。ピンさんはこんな風に大好きだと感じるものはありますか。大好きで仕方なくて、考えてしまうと寂しくさせる、そんな何かはありますか。私はそんな大好きで堪らない雪を見てると、時折、雪が静けさを運んできて、寂しさを覚えてしまうことがあるの。
家に帰りたい……。
ここに綴っている言葉以上に、私は家に帰りたいと思っている……。
知ってるかな。私の強かった心を脆くさせた理由の一つには、ピンさんの存在もあるのよ。
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