![ロイヤル・ピン第五十一章](https://static.wixstatic.com/media/44e4a2_d81e869e63954e0494e0c918fcabb98b~mv2.png/v1/fill/w_940,h_534,al_c,q_90,enc_auto/44e4a2_d81e869e63954e0494e0c918fcabb98b~mv2.png)
第五十一章
ご対面
とある日の遅い朝、天頂へと昇り始める太陽の光が窓から一室に差し込んでいた。その部屋の中では、サウェタワリット宮の当主である太子様が、山積みになった資料と真剣な表情で格闘していた。そんな最中、太子様の愛娘が部屋の中に入ってきた。
「お父様はここにいらしたんですね。私、ずっと探していたんですよ」
アニン王女はお父上への敬意を決して忘れず、しかるべき所作を保ち続ける。彼女の放つ視線は輝きを含み、顔の美しさはさらに磨きがかかり、見る者の視線をいとも簡単に奪い去る。
「またまた、アニンは可愛いことを言うなあ」太子様は温かな微笑みを浮かべる。「父さんが庭にいない時はこの部屋にいることくらい、アニンはもう知っているではないか」
アニン王女もお父上に微笑み返して応じる。そして、お父上の手招きに従い、客人用の椅子に腰を下ろすと、太子様もその隣の椅子にお座りになられた。
太子様は手を上げて、専属使用人*を呼んだ。
「太子様……」その部屋にいた専属使用人の一人が、膝を突いて命令を待つ。
「新しい茶を用意してくれ」
「かしこまりました」
専属使用人が急いで部屋を出ると、太子様は改めて周囲を見回し、他に誰もいないのを確認して、お話を始められた。
「今日は何の用事だい、アニン」
「どうしてお気づきになられたのですか。私がお父様にお話ししたいことがあるってこと......」