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ロイヤル・ピン|第十一章 宮殿【限定公開】



第十一章

宮殿


 レディ・ピンの部屋から見える荒地は、ピンが考えたことないほどの突然の変貌を遂げていた。

 自由に生い茂っていた緑が駆除され、緑に埋もれて見えなかった渇きに乾いた土も黄色いロードローラーに整備された。そのような状況がしばらく続いた後、作業員と見られる方がぞろぞろと資材等を持ち込んで来ていて、気づけば辺りは暗くなっていた。

 毎日のようにその荒地の変化を寝室から見ていたレディ・ピンの頭には、とある一言が過り、必要以上にその土地に心配をかけていた。

 心配をするなと言うのは、無理に決まっている。何しろ、どこぞの誰かさんがその土地に宮殿を設けると何年も前に言っていたのだから。

 それが、小さく呟くように吐いた言葉で窓から流れ込んだ風に攫われるように消えていき、忘れもしない笑顔を見せたあの日の記憶は……。

 しかし、ピンはその記憶を忘れることはなく、むしろ本気に信じていて、本人も自分自身に驚きを隠せない様子だ。


「太子様があの土地に何をお造りになられるのか、叔母様はご存じでいらっしゃいますか」


 ピンはある日の夕食時に突然口を開いて、パッタミカ王女に尋ねた。もう一秒たりとも自身の知りたいという欲求に耐え難くなったのだ。


「何ですか一体……」パッタミカ王女は眉を寄せ疑問を抱く。「叔母はそもそも、レディ・ピンが一番良く知っているのだと思っていたのよ」


「どういうことですか、叔母様」甘い声には状況が良く読み込めていない事が伺える。

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