第三章
祭り
「今晩、パッタミカ叔母様は本当にいないのよね」
パッタミカ王女は今宵、郊外へご友人の葬儀に本当に行かれているのかと、アニン王女は再びプリックに確認する。
「身を粉にして言わなくても、確実にそうですよ」プリックは口角をあげ、次のように続ける。「宮殿に戻られるのは、恐らく夜更けになると思います」
「そんなに笑って、何を企んでいるのですか、王女様」ピンは、身構えながらアニン王女に声をかけた。
「今夜、この宮殿の裏手でお祭りをやってるのよー、ピンさん」煌めきを発するアニン王女の目はどんな言葉にも引けを取らない。「私はピンさんをそのお祭りに連れて行きたいなって思ってるの」
恐怖からピンは目を丸くする。
彼女が……果たして日が暮れた時間に出ていこうとするだろうか。
忍び出るようにお祭りに行く事なんて、以ての外だ。
夜の帳が落ちた後に宮殿から出ていくだなんて、想像をするだけでも恐ろしいというのに。
「私は行けません。危ないと思うわ」
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