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シークレット・オブ・アス|第九章 過去への渇望【支援者先行公開】


シークレット・オブ・アス 第九章

シークレット・オブ・アス 第九章 過去への渇望


 診察室の中で二人の視線は絡み合ったままだったが、先に目をそらしたのはラダーのほうだった。同時に、細くしなやかな手がゆっくりと自分の首元から離れていく。

 美しい女優は、白衣の下の背中を見つめた。その背中がドアへと向かって歩き出すのを見ながら、彼女の心は落ち込む気持ちでいっぱいだった。ここまでしたのに、センセイは全く振り向いてくれない。

 ガチャッ! ドアの鍵がかかる音がして、落ち込んでいた彼女の頬が一気に赤く染まった。自分の体を見つめるその視線を受け止め、呼吸が詰まりそうになる。センセイの静かで平然とした目つきに、彼女は胸が激しく高鳴った。まるで、センセイがこの誘いに乗るか、それとも拒絶するのか、その返答を待つように。

「脱いで。ちゃんと診察するから」

「センセイ……」淡々とした視線は、まだ胸元を覆っている小さな布切れに向けられた。その視線だけで、かすかに残る発疹がある彼女の顔は、さらに赤みを帯びた。これは決して挑発などではない。診察室には今、自分たち二人きりなのだから。

「診察しないなら、服を着て出て行ってもいいわ」相変わらず静かな口調だが、ブラジャー一枚になっている意地の悪い女優に、先生の胸の鼓動が聞こえてしまうかのような距離だった。目の前の女優だけが、いつだってラダーに自分を見失わせてしまうのだから。

「センセイ……」

「時間を無駄にしたくないの」それは昔のような情熱的な視線ではなく、あまりにも静かで、ただ冷淡さしか感じ取れない視線だった。ほぼ上半身が裸に近い状態にもかかわらず、センセイは言葉も態度も平然としている。以前のセンセイだったら、こんなふうに静かにただ見つめているだけなんて、あり得なかった。

「はい……。アーン、脱ぎます……センセイに詳しく診察してもらいたいので」それは挑発ではなく、無関心を装うラダーへの気持ちだった。女優は涙がこぼれないよう必死に耐えた。今の自分は、もう特別な存在じゃない。ただの患者。以前はセンセイにとって、いつだって一番だったのに。

 小さな指先が微かに震えながら背中に回り、自分のブラジャーのホックを外した。上半身が露わになった瞬間でさえ、ラダーの視線は何も感じていないような冷静さで、いつもの診察を見るのと同じだった。

 だが、華奢な身体の豊かな胸元を見てしまった瞬間、ラダーの呼吸が詰まり、喉が急激に渇きを覚えた。裸になった患者の元へと近づく足音が診察室内に響き渡り、ついに医師は自分の患者の前に立った。

 センセイの細く美しい指先が、裸の素肌をなぞるように優しく触れると、触れられた身体が小さく震えた。懐かしく、激しく切ない感情が押し寄せてくる。もう何も考えたくなくなるほどに。ただ目の前の白衣を着た女性が欲しい、という想いだけが彼女を支配した。

「センセイ……」

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