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GAPピンクセオリー|第十一章 不満【限定公開】


第十一章 不満


 あの日から、少しだけサムさんとの距離が縮まった気がする。甘い顔のその人は、前よりも私と話すようになった。でも、周りには内緒。サムさんも誰にも見せようとしないし、私も周りの人から、社長に対して馴れ馴れしいって思われそうで、怖かったからそういう素振りは見せなかった。

 職場という社会では、人間関係に気を遣わないとまずいと思う。たとえ給料が同じだったとしても、他の人より目立つ行動は控えた方がいい……とか、そんな風に考えて。それで私はサムさんと会社にいる間はあまり話さないことにした。でも、美しいその人が何か美味しいものを食べたくなったら、仕事終わりで一緒に行く。


 ボス:今日は、セーリータイへ行こう。クイティアオが美味しいお店がある。


 今まで、サムさんの美味しいもの探しの旅に付き合ってくれる人はいなかったらしい。友達と一緒だと、自分で注文する勇気が湧かなくて……それで、一人で行くことにしたんだって。二人で行くようになってからは、楽しそうに私を連れ歩いて、美味しいものを求めてる。あと、サムさんは、レディで美人社長だから、他の人はすごく遠慮しちゃうんだって。私も緊張はする。けど、そんなことより、隣にいられるのが幸せで……。こうして過ごしていると一歩ずつ、この美人さんのことを知っていける気がするんだ。

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