第六章 グルメサイト
混乱している。だって、私は今あのカークさんと一緒に、サムさんの高級車に乗っているから。オーナーと社長。そんな二人と同じ車で移動を……あまりの緊張で身体がこわばっていく。正直、エアコンがよく効いているこの車よりも、三回も乗り換えないといけない、いつものバスで帰る方が落ち着く。
「こんなにも遠いところに住んでいるのかい? どうやって会社に来ているんだ? 何時に起きているの?」
地図アプリでルートを確認しながら、目を丸くしているカークさんは私に質問をした。サムさんは静かに黙っている。でも、気になっているみたいで、バックミラー越しに私を見つめた。