第三十六章 シャワー
世の中に隠し事って本当に出来ない。ヤーさんとチンさんがこっそり付き合っているってことが、一番知られてはいけないサムさんに偶然見られてしまった。しかも、私がサムさんと裏で付き合っていることもバレてしまった……ヤーさんに。
「どのくらい付き合ってるの?」
次の日、ヤーさんと二人きりで食事をしていると、揚げ足をとりたい……というよりも私達のことに興味津々なヤーさんは質問し始めた。私達のことをヤーさんに知られちゃったって、あえてサムさんに言ってない。だって、甘い顔のあの人が、密かに発揮できるダークパワーで、ヤーさんがクビにしかねない、そう思ったから。
勝手に、未来のことを想像しちゃった。サムさんが本当にそうするかは、別の話でわからないのにね。
「もう結構経ちます。実は、会社を辞めようと思っていて」
「なんで辞めるの? 私、誰にも言わないよ?」
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