第三十章 回りくどい人
まさに新婚夫婦。初めての恋人ができた私にとって、全てが新鮮だった。最近の私はパートンコー*のように、サムさんにくっついている。お互い相手と離れたくなくて、彼女が私と一緒にいたがっているのか、私が彼女と一緒にいたがっているのか、もはや判断がつかない。
ただ、私達はボスと部下という関係も以前と変わらずに継続しようとしている。会社にいる時は、仕事と割り切って振る舞っているから、誰にもバレていない。たまに、サムさんが我慢できなくなって私を見るために壁を透明モードにすることがある。でも、それはオフィスのみんなを怖がらせる、たったそれだけのことにしかならない。
会議に出席したとき、遂に正社員になった私は、自分が進めている仕事の内容について話したけれど、コンテンツチームには賛成してくれない人が沢山いた。でも、サムさんはそんなこと気にもしてない。なんならレズビアンの夜の営みについての投稿を載せるか話題に上げようともしていなくって。たくさんの反対を受けようと、私をクビにするつもりがないからだろうな。
「企業イメージに関わりますので、この投稿はやらない方がいいと思います」
今日もサムさんは、美しい瞳で私をじっと見つめている。そんな時にある参加者がそう発言した。もちろん、私もそのことが気になっている。
「モンさんはどうしたいですか? その投稿をやりたいですか?」
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