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クレイニアム|特別編第三章前編【支援者先行公開】

  • 14 時間前
  • 読了時間: 5分

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小説クレイニアム 特別編

小説『クレイニアム』 特別編 第三章 前編

 ブサヤー博士がようやく一息つけたのは、もう日もだいぶ傾いた頃だった。 

 騒動のすべては依然として捜査の途上にあるものの、大きく進展しており、間もなく事件は幕を閉じるだろうと見えていた。

 そもそも、この国で飛行機事故が起こるなど滅多にない。ゆえに当然、メディアも世間の注目度も高かった。

 昨日の知らせでは、ラーメーの自宅からさらに証拠が見つかったらしい。おそらくウィサル殺害に使われた凶器だという。それはブアが最初から口にしていた通り「金槌」だった。下顎の骨に走った亀裂は、ピンが推測した通り、中心から放射状に割れていた。つまり一点に重みの集中する武器を、十分な力で叩きつけた痕跡だった。

 ここまで来れば、故意の殺人の罪から逃れられる道はない。

 ブアはいつも本気で言っていた――人類の進化は、欲求と強欲によって幾十万年も積み重ねられてきたのだと。学べば学ぶほど、経験を重ねれば重ねるほど、その確信は強まっていった。

 人は欲に満ちている。その渇望は物質文明を発展させもするが、精神の成熟とは往々にして逆行する。 

欲しいもののためなら何だってする。それが進化や革新を生んできた一方で、なぜ社会は日々荒んでゆくのか。 

進化は必ずしも心を含まないのだろう。……そう気づいたからこそ、彼女はもう、欲に振り回されて堕ちていくまいと心に決めていた。

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