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シークレット・オブ・アス|第五章 甘い香りのバナナ【支援者先行公開】

更新日:4月22日


シークレット・オブ・アス 第五章

シークレット・オブ・アス 第五章 甘い香りのバナナ

 女優は、自分が二週間前に撮影したばかりの雑誌を眺めていた。その雑誌は今日、発売されたばかりで、自分の個人的な好みについてのちょっとしたインタビュー記事も掲載されていた。時々、自分でも信じられなくなる。なぜ自分が芸能界に入ることを決めたのかと。主な理由は、芸能界という世界を、今でも心にいるあの人が嫌っているからだった。

 彼女を芸能界へと駆り立てたのは、自分自身の考えだった。愛する人が嫌いなことをあえて選ぶことで、二人がもう別れてしまったこと、もう愛し合ってはいないということを自分自身に言い聞かせたかった。別々の道を歩いているのだと、何度も何度も心に言い聞かせてきた。しかし、こうやって何度も自分の心に言い聞かせてきたのに、この数カ月間仕事をしてきても、いまだに忘れることができなかった。

 ずっと心で思い悩んでいたことは、何ひとつ簡単に忘れられなかった。誰かにかつて「昔の恋人を思い出すことを繰り返せば、自然と忘れられる」と言われたことがあったけれど、いろいろ試してみても、まったく効果などなかった。

「私は好きじゃないわ。芸能人や歌手なんて、まったくプライベートがないもの」二人が時間を共有するたびに耳にしていた、ファーラダー医師の愚痴が聞こえてくる気がした。テレビもあまり見ず、ドラマも好きではないなんて、変わった人だな、と彼女はよく思ったものだ。テレビといえばニュースぐらいしか長時間見ていなかった。それを見て、もしかしたらファーラダー医師はかつて芸能人の恋人がいて、その人と別れたから芸能界を嫌っているのかもしれない、と時々思ったこともある。


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