第四十七章 選択肢
音沙汰がない……。
あれから、五日間が経った。でも、サムさんからの連絡は、一切ない。電話も、メッセージも、全て。私にできることは、ただ待っていること。それだけだから、泣くのをやめられなかった。心が落ち着かなくて、この悩みは新しい上司になったティーさんがいる会社へも連れていくことになった。私のその全ての様子は、ずっとティーさんの目に入ることとなり、最終的にそのイケメンな女性はもう我慢できないって、舞台にずっと登場していなかった、おバカなモイのゴシップルームで相談を持ちかけた。
ジム:喧嘩さえしていないのに、音信不通だって?病気に罹ったか、死にそうなくらいのことが起きたのかな?
ケード:もしかして、あの子の携帯がおばあ様に没収されちゃったんじゃない!?
ジム:クマみたいに大きくて、経営者にもなっているくせに、ババアに携帯を没収されるなんてこと、あるのかなぁ?そうしたら、もう仕事ができなくなっちゃうじゃん。
ティー:おばあ様は、いつもあいつのことを子どもみたいに扱ってるんだぞ。こんな大人になったっていうのに、恋愛のことすら邪魔するんだから。
ジム:奴のおばあ様は、昔から偉そうよ。自分の手で育ててきた孫が性同一性障害になったって、認めることができないのかしら?
ティー:おいジム、馬鹿野郎。頭をカチ割るぞ。
ジム:私はモイのおばあ様ならそういうことを言ってそうだね、って意味で話したのよ。別にお前のことじゃない。なんで余計なこと言ってきたの?
モン:今はただ、サムさんのことが心配です。なにか病気になっているのかも分からない。こんな風に連絡が取れなくなってしまうなんて……なんだか不安です。
ジム:あいつに会いに行けば?少なくともモイの奴、会社に出勤しているんでしょう?
モン:怖いです。
お姉さん達は、次に私が何を書くのか静かに待っているらしかった。でも、私はそれ以上何も書かなかった。
ケード:何か怖いことがあるの?
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